いつもの日常(主に食)

日記がわりの気ままな書き置き

シャニダールの花

シャニダールの花

極限られた女性の胸に咲く花について

セラピストの響子と植物学者の大瀧は胸に花を咲かせる女性たちの観察をしている。

花はごくわずかな限られた女性にのみ、突然咲き始めるというもの。

この、人に咲く花という設定は、すごい面白いと思った。

女性たちは特殊な入院着を身に着けて、隔離された施設の中で、花を満開にさせるまで暮らさないといけないんだけど、なぜか当たり前にヨガしているところがなんかシュール。

入院着は花を部分的に囲うような造りになっていて、患者が自分で開けようと思えば開けられるのよね。

だから患者同士で花を見せたり摘んだりできてしまう・・・管理がザルです。

この花の成長には患者の精神状況にも関わっているらしく、気持ちが穏やかでないと蕾に戻りかけたり、良ければ花の成長が早まったりする。

花の切除の際も大がかりな手術体制。

切除した途端に心臓が止まって危篤状態になるのがよくあるみたいだった。

だらしない所長(こいつの態度が適当すぎて本当に所長か?てなる)はそれを知っていたようだったけど、隠していた。

切除した花を培養液みたいなのに付けたとたんに患者が危篤状態になってしまう経緯があるらしく、これは神経か何か命にかかわる大事な部分が花とリンクしているのかなと思った。

響子は幼いころに自分以外の家族が事故で亡くなっていた。

シャニダールの花の声が聞こえたという彼女に、大瀧は心配する。

そこから2人は急に恋仲になるんですよね。

その展開になる理由がいまいちわからなかった。

ある日花の育ちの良くない患者がヒステリーを起こして、他の患者たちの花を引きちぎる暴挙に出たんだけど、なんで彼女の花は育たなかったのか、なんで他の人の花を摘んだのか、その理由も明らかにならないままだった。

響子は、大瀧に会えなくなるから花は切らないで!とヒステリーを起こす患者にセラピーを施して、翌日には前向きに手術します!と気持ちを変えさせた。

その時のシーンが夜中に水道ジャー流しながら手を洗わせるんだけど、これは何か一種のセラピーの手法なんだろうか。

しかし前向きになった彼女は手術の際に蘇生に失敗して亡くなってしまった。

そこから、この花を研究するこの施設自体に不穏な雰囲気が。

響子にも突然胸に花の芽ができてしまったが、響子はこの花を摘み取らずに咲かせて、受粉させて、種を作って増やしていきたいと言うが、大瀧はそれに反対する。

響子は相いれないと思い、別れを告げる。

その頃にはついにシャニダール研究所は閉鎖した。

響子は行方知らず、大瀧は植物の品種改良的な植物施設に勤務に。

暫く転職先で働いていた大瀧のもとに、差出人不明の封筒が。

中には謎の種が入っていて、それこそ人に咲くあの花の種だった。

響子は生きている!と大瀧は喜び、実は封筒を送ったという元患者の女の子のもとを訪ねる。

その子ともう1人、花が大きくならず他の患者の花を摘み取った女性も、響子のその先を知っていた。

響子はずっと眠っているという。

脳死ではなく、覚めない冬眠のようなものらしい。

体も心も軽くなる、花に戻ります、という響子の残した手紙。

響子は人に咲くあの花を神聖なものだと思っていたのかもしれないけど、その頃の世間ではその花はただの人に寄生する危険な花でしかなかった。

所長はすべてを悟っていて、マスコミに追われながらも研究を続けていた。

かつてのネアンデルタール人は花を死者にたむけたわけではなく、あの花がネアンデルタール人を絶滅に追い込んだという。

大瀧は信じられずも、自分で真相を追い求めるため、もはや人だけではなく地面にも普通に生えるようになった花を採取、栽培し始めた。

採取の道すがら、太陽を見る大瀧。

途端に、世界が変わって響子がすぐそばに居た。

咲いている2本の花を自分と大瀧だという響子。

大瀧があたりを見渡すと、無数のシャニダール花が一面に広がっていた。

ラストは、響子と大瀧だけが正気になって、地球には2人しかいなくてシャニダールの花によって人類は滅亡したってことなのか。

採取中の大瀧が突然倒れて響子のような冬眠状態になり、精神で2人はつながる事が出来たのか。

まったくの謎ラストでした。

設定と雰囲気はわるくないのになんか惜しい所ばかりだったなあ。

綾野剛はイケメンではないと思ってたけど、これを見てイケメンなんだなと認識したことは確かであった。

★★☆☆☆